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微妙なホログラフィックに明日はあるのか? [IT業界日記]

国内ではオプトウェアが経営破綻して久しい
http://www.optware.co.jp/

2005 年当時には2007年に出ると言われていたホログラフィックストレージ(注1)だが、確かに今年ついに市販はされている。

http://www.inphase-tech.com/products/media.asp?subn=3_2

ただし、販売してはいるが値段を見ても評価用の試験販売だ。Q4から広範囲な市販をするとのことだが、差別化が十分とは言えず微妙だろう。なぜなら、

基本スペックなど見ると
 ドライブ単価 $18,000.00 (US List Price)
 300M メディア単価 $180.00 (US List Price)
 転送速度 20M

ボリュームバックアップであれば、やはりテープが優れている
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20070420/269104/
  1.6Tテラ(圧縮時) 転送速度 120M-240M(圧縮時) ドライブ単価41万

高速ランダムアクセスが望みなら、1Tテラ3.5インチハードディスクがバルクで3万程度だ

で、ブルーレイは現状4倍速 (144M)、4層/100Gまでの実証ドライブが存在しており、市場のニーズをにらみながら投入時期を探っている段階と思われる。
試験器の性能ベースで考えるとホログラフィックストレージは今後も急速な立ち上がりに必要なR&D予算の循環に苦労するであろう。

ではなぜ、ホログラフィックストレージの進展は遅々としているのか? 問題は材料が革新性に欠けるからである。

現状のホログラフィック記録はたとえればピンホール写真
ここで、ホログラフィック記録の基本原理を見てみよう。ホログラム映像を見た人なら誰でも暗くてぼけた映像の記憶を持っているはずだ。それには原理的な理由があるのである。

投げやりな作図

図中の「さくらん中心点」で錯乱された二次元波面が、線分に当たったポイントにおいて、線分に波面と同位相な平行波をぶつけてやることにより、同位相な部分が増幅され赤く印を付けた同位相のポイントが点として露光したとする。

こうして出来た解析格子に、さらに、同じ位相のそろった平行波をぶつけてやる。すると露光した赤い点では錯乱が発生する。それが赤い点を中心にした同心円である。複数の同心円を重ね合わせると、元々の錯乱点を中心とした波面に接してた合成波を形成していると分かる。

すばらしい。これが、ホログラムの原理である。

しかしながら、この原理から分かるように

ホログラム記録された解析格子で点的に錯乱される光線は一部であり合成波にしても弱い
    ->これがホログラム映像のコントラストが低い理由である

解析格子で錯乱される複数の錯乱波を合成して初めて元々の点の情報が得られる
錯乱点が大きさを持っている場合、それは位相誤差となり、その誤差はより多くの解析格子点により補正されねばらない
    -> 面的に記録できるが、情報の面密度を初めからあげられるわけではない

また、解析格子点の位置精度を上げるためには、露光感度はエネルギー強度の高い状態でのみ露光することが望ましく(点的になるから)、反面、複数点の情報を集約するためには面的に広がった場所においても露光する必要があり、低いエネルギー強度でも露光することが望ましい。

これはバランスが難しい材料特性だ。

要するに現在のホログラムでは面的に広がった情報に補正を依存する特性から、ディスクの深さ方向に記録できるといっても、データ密度として利用できるとは限らないのである。記録光の波長限界に迫る多層記録が可能であればおそらくホログラム記録よりはデータ密度を上げられるであろう。

 ホログラフィック記録にブレークスルーが生まれるとするならば、現在のように錯乱点/解析格子として記録するのではなく、面的広がりを持った位相そのものを記録し、再生するような材料が生まれた場合であると思われる。ただし、そうした研究は行われているものの実用には至っていない。

とはいえ、どの技術にしても、いきなり限界性能が出せるわけでもない。このあたりが技術的な予測を難しくしている要因である。

昨今の流れで考えれば、ディスク向けの材料研究で競っている間に、フラッシュなどシリコンがハードディスクのビット単価を下回ってくるのであればランダムアクセス向けはシリコンのみって線もありそうなのだが、さてどうなるのでしょうか。

(注1)これを書いた2005年当時はオプトウェアの調査をしていたわけだが、同社が予想通りの苦境に陥ったのは残念でもある。資金投下を行った投資家は明らかに実現時期に関して楽観的すぎた。また、経営者はは明らかに現状に関する誠実な説明をしていなかったと思われる。また、依然マテリアルが主役な分野で、ケミカルは他社に依存しピックアップにフォーカスした経営姿勢と米国の同業であるInPhaseが$78Mの資金調達をしてることを考えれば無理のある計画であっただろう。


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Hiroshi

GEが500Gのホログラフィック記録装置を開発
http://www.genewscenter.com/Content/Detail.asp?ReleaseID=6676&NewsAreaID=2&MenuSearchCategoryID=

確かにそろそろ実用化しても良い時期なのだが発表写真からみるて、昔 Optware が行っていた同軸に参照光と記録光を重ねる方式なのだろうか?
当記事に書いたように、「感度特性の高い記録材料の開発」が鍵な領域で、感度の次は安定性も問われる。
物性が絡むだけに、実用化の時期は推測しにくい領域だ。

Optware (旧 Sony ただし、記録素材は InPhase) も破綻し InPhase(旧ベル研) も厳しい日々を送っている領域なわけで、あせらずに大手企業でゆっくり研究開発を継続する技術分野なのだろう。

相変わらず私見では、書き込みや読み取りの速度が問題になる、50層程度までは、旧来技術の延長の多層化に部があるように思われる。
500G程度だと、微妙なんじゃないだろうか。

by Hiroshi (2009-05-06 19:02) 

Hiroshi

点的にだが、偏光と波長を記録する素材が出来たらしい

五次元でのデジタル記憶
http://www.natureasia.com/japan/nature/updates/index.php?i=72363

by Hiroshi (2009-05-22 01:01) 

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